「あぶないとびだし」総括2015年05月26日 09:51


「あぶないとびだし」だけに限定したのは、最初の記事の物件を見たときに「よし、これでいこうじゃないか!」と思ったからです。
所沢市にはその他にも多数の「電柱に巻き付けるタイプの交通標語」があります。添付画像はそのひとつで、画像の奥の方にラブホVIEWがある場所にあります。クリックしてもらえばわかると思いますが、亀裂ができているのではなくて、蔦に覆われ、それが枯れて茎のあとが残っているのです。文字がところどころ剥落しているのも味わいを醸し出しています。番外編として載せることにしました。

ところで、なんでこういうものに「ぐっ」とくるのでしょうねぇ。崩れかけた廃屋とか、文字の退色しまくった看板とか、廃棄された自動販売機、放置されて腐食している自動車などなど、見かけるたびに不思議な情動が心のなかで起こります。
この世界から消え去るものへの哀れみとか慈しみではないです。この「ぐっ」とくる気分にはある種のカタルシスがくっついています。つまり、心が盛り上がっているのです。どうしてこうなるの?
科学的なものの言い方ではないのですが、自分の心の中って、まるでゴミ屋敷みたいなものだという気がするんですよ。とっ散らかって、捨てても捨ててもどんどんたまっていく。それも整理のしようがないほど。「記憶のゴミ屋敷」とでも言えばまだマシか。
くしゃくしゃになり、退色したようににじんで不正確な記憶が、もりもりと心のなかに溢れかえっている。そうした心のなかのありさまと、こうした物件が引力で引き合うような作用を起こして、それが「ぐっ」とくる情動となるのではないかなぁ。